日本には、独立行政法人 国立美術館によって運営される国立の美術館が5箇所存在します。
これには、日本で最初の国立美術館である東京国立近代美術館、工芸に特化した京都国立近代美術館、世界遺産にも指定されている国立西洋美術館、大阪万博に際して設立された万国博美物館を基に創設された国立国際美術館、そしてコレクションを持たない国立新美術館が含まれます。
一方、博物館においては、「国立」と名付けられているのは東京、奈良、京都、九州の4箇所に限られており、これらは独立行政法人 国立文化財機構が管理しています。
美術館と博物館は、同じ「国立」という称号を持ちながらも、運営機関が異なるという特徴がありますが、実際には美術館と博物館の間には明確な区別が存在するのかという疑問が出てきます。
またアートや珍しいアイテムに興味を持つ人々にとって、「美術館」と「博物館」は価値ある場所です。多くの人が、これらの施設を目指して旅をしています。
しかし、これら「美術館」と「博物館」の間には一体どのような違いがあるのでしょうか。日常的に使用しているこれらの言葉ですが、両者の具体的な違いについて深く考えると、答えを見つけるのが意外と難しいことに気づくかもしれません。
今回は、そんな「美術館」と「博物館」それぞれの意味と違いをわかりやすく解説します。
「美術館」と「博物館」その意味と違いとは?
「美術館」とは
「美術館」という言葉は、芸術作品を集め、保存し、一般公開や学術研究のために展示する施設を指します。
例えば、「美術館を訪れる」「ルーブル美術館に行く」などの文脈で使われることが多いです。
美術館と博物館は展示する内容が重なることがあり、両者を区別するのは一見簡単ではないかもしれません。
英語では両方を「museum」と呼ぶことがありますが、主な違いは「運営の目的」にあると言えるでしょう。
美術館の場合、特に「芸術の発展や保存」を目的として運営されています。展示物に関しても、絵画や写真などの芸術作品が中心です。例えば、ゴッホの絵画は通常「美術館」で展示されることが多いです。一方で「博物館」については、後述しますが、目的や展示内容に違いがあります。
「博物館」とは
日本の「博物館法」によると、博物館は「歴史、芸術、民俗、産業、自然科学などに関する資料を集め、保管し、展示することで、一般公衆の教育や調査研究に役立つ事業を行うとともに、これらの資料に関する研究を目的とする」機関と定義されています。
「博物館」と「美術館」はどちらも広義の「museum」に該当しますが、具体的な目的にはわずかな違いがあり、一般的にはこの目的の違いに基づいて使い分けられます。
美術館は主に「芸術の発展や保存」を主目的とし、対照的に博物館は「歴史や文化、科学の保存や活用」に焦点を当てます。
博物館では美術品の展示も行いますが、考古学的な資料や生物学的なサンプルなど、より広範な分野の対象を取り扱うことが特徴です。
まとめ
「博物館」は文化、自然、産業などに関連する資料を収集し、保存して一般に展示する施設です。
一方で、「美術館」は博物館の一形態と見なされ、様々な時代やジャンルの美術作品を集めて保管し、公開展示する施設です。