今回は「思う」と「考える」という似ているけれども微妙に異なる意味を持つ日本語の言葉について、その違いを明確にわかりやすく説明したいと思います。
「思う」と「考える」は、いずれも何かを判断するという類似した意味合いを持っていますが、元の意味には微妙な違いがあり、日常会話でこれらの言葉が混用されることがあります。
どのような状況で「思う」「考える」どちらの言葉を使用するのが適切なのかと迷う場合に使い分けに役立てば幸いです。
「思う」と「考える」の違いは?
「問題の答えを考える」とは一般的な表現ですが、「問題の答えを思う」とは通常言いません。
これは、「考える」という言葉が、筋道を立てた知的な分析や客観的な判断を示しているからです。
一方、「思う」は主観的な感情や瞬間的な意見を表現するのに適しています。
例えば、「面白い」という感情を表現する際、「面白いと思う」と言うと感情や主観を示します。対照的に、「面白いと考える」や「面白いことを考える」といった表現は、より分析的な意味合いを持ちます。
「相手のことを思う」と言う場合は、相手に対する恋慕や心配といった感情が表れますが、「相手のことを考える」という表現は、相手の状況などについてより分析的に考察することを意味します。
また、「私はこう思う」と言うときは、個人的な希望や感じ方を表し、「私はこう考える」という場合は、より客観的で論理的な思考が表現されています。
「思う」と「考える」の意味の違いは?
「思う」と「考える」の区別を簡単に述べると、それは感情に基づいて判断するか、知的な分析に基づいて判断するかという点にあります。
「思う」と「考える」の使い分け方とは
「思う」という言葉の漢字には「心」が含まれており、これは感情や心情を表す際に用いられる文字です。したがって、「思う」は感情的や心情的な判断を表すことを示します。
さらに、「思う」には判断するだけでなく、予測する、思い出す、望む、希望するなどの意味も含まれます。例えば、「この服はどれくらいの価格だと思う?」は価格の推測を意味し、「高校時代を思う」とは過去を振り返ることを、そして「将来警察官になりたいと思う」とは願望を表します。
一方で、「考える」は知識や経験をもとに論理的に判断することを意味します。これは心情ではなく、理性的な思考を使う行為です。例えば、「この服の価格はどう考える?」とは、ブランドや素材、品質などを基に価格を論理的に推測することを意味します。「高校時代を考える」とは、その時代について理論的に分析することを、そして「将来警察官になりたいと考える」とは、その選択の論理的根拠を持つことを意味します。
このように、「思う」はより感情的な、曖昧な意味合いを持ちますが、「考える」はより論理的で、根拠に基づいた言葉です。
クイズの答えに関しては、「クイズの答えを考える」と表現し、感情的ではなく論理的なアプローチを取ります。「彼女のことを思う」は、心情的な関心を示すのに対し、「彼女のことを考える」とは、その人の性格などを論理的に分析することを示します。
結局のところ、「思う」は心情的な表現、「考える」は論理的な表現として用いられることを覚えておくと良いでしょう。
「思う」とは?
「思う」の意味
「思う」という表現は、主に心情に基づく判断を指します。
この言葉はさまざまな意味を持ちますが、「考える」と混同されやすいのは、特に「判断を下す」という文脈で使用される場合です。
「思う」の使い方
「思う」という言葉は、心情に基づく様々な感情や判断を表す際に使われます。
例えば、「今回は本当の恋だと思う」「将来起業したいと思う」「30歳までに結婚したいと思う」「意地を張ることは無意味だと思う」「彼女は魅力だと思う」「市民は議会の決定をどう思うだろうか」といった使い方があります。
「この結論が良いと感じる」という表現は、具体的な理由はなく、直感や心情に基づいた判断をしていることを意味します。論理的な説明がなく、感覚に頼っている場合です。
また、「思う」という言葉は「推測する」「想像する」「思い出す」「願う」「心配する」など、心情に関連する様々な意味を持ちます。
「思う」と「考える」のどちらを使うか迷った場合、漢字に「心」が含まれている「思う」を選べば、より心情的な意味合いの表現になります。
「思う」の類義語には、同じ意味と読みを持つ「想う」「懐う」、過去を振り返る「回想する」、心からの願いを示す「祈る」、仮定する「見做す」(読み:みなす)、疑問を抱く「疑う」などがあります。
また、「思」という字を使った関連語としては、「思案」(心配する、物思いにふける)、「思慕」(恋しく思う)、「相思」(互いに恋しく思う)などが存在します。
「考える」とは?
「考える」の意味
「考える」という表現は、理論的な判断を行うことを指します。この言葉も、「思う」と同様に、さまざまな意味を持っています。
「考える」の使い方
「考える」という言葉を使用する典型的な例には、「しっかりと考えることが大事だ」「次世代の子供たちの将来を考える」「会社の経営陣が働き方を考える」「彼女のキャリアを考えるなら転職する方がいい」「次月の勤務シフトを考える」などがあります。
「考える」を用いる際は、感情に基づくものではなく、論理的な思考に基づいて使われます。何かを判断する際の理由について、整理された説明が可能であれば「考える」という言葉が適切です。
例えば、「留学を考える」という表現は、留学に伴う費用の問題や宿泊施設の選択などを分析して、それを実現しようとする意思を示します。
これに対し、「留学をしようと思う」と言う場合、具体的な計画はまだ練り上げていないが、留学に対する意欲があるという、より感情的な意味合いになります。この表現は「考える」を使った場合よりも現実感が薄く、軽い印象を与えます。
「考える」は「決意する」という意味も持っており、現実的かつ具体的な計画に基づいて使用されます。
また、「考える」の類語には、「検討する」(徹底的に調査して考える)、「慮る」(周囲の状況を考慮する)、「勘案する」(さまざまな要素を考慮する)、「思考する」(思考過程を行う)などがあります。
「考える」に関連する「考」という字を使った言葉としては、「熟考」(よく考え抜くこと)、「考案」(工夫して思いつくこと)、「考証」(古文書や物品を根拠にして物事を説明すること)などが挙げられます。