「愛想をふりまく」と「愛嬌をふりまく」、正しいのは?

私達が日常生活の中で使っている言葉の中には、本来の意味や書き方使い方などを勘違いしている、間違って覚えてしまっているものがたくさんあります。

間違ったまま気づかないでいると、まわりの人に「常識のない人」「残念な人」などと思われてしまうかもしれません。子どもなら許されるかもしれませんが、たとえ若くても社会人になっていればもちろんのこと、中高年なればさらに恥ずかしい思いをすることになりかねません。

あなたも使っていませんか?

「私は大丈夫!」と思わず、今一度確認してみて下さい。これまで会話の中で当たり前に使ってきた言葉の中にも、勘違いが見つかるかもしれませんよ。

今回は、一見どちらの使い方でも問題ないように思える「愛想をふりまく」と「愛嬌をふりまく」について、日本語として正しく使えるのはどちらなのか?わかりやすく解説していきます

どちらも「人当たりの良さ」を表現する「愛想(あいそ)」と「愛嬌(あいきょう)」という日本語ですが、本来の意味には少し違いがあり、勘違いして間違って使われやすい言葉です。

 

「愛想(あいそ)」と「愛嬌(あいきょう)」の違い

「愛想(あいそ)」と「愛嬌(あいきょう)」の意味の違い

「愛想」と「愛嬌」の区別を簡単に説明すると、愛想は意識して行う親しみやすい態度を指し、一方で愛嬌は自然に持っている人なつっこさや魅力を意味します。

「愛想(あいそ)」と「愛嬌(あいきょう)」の使い方の違い

「愛想」と「愛嬌」は、どちらも人に好感を与える態度や振る舞いを表す言葉ですが、それぞれの意味合いや使い方には違いがあります。

「愛想」は、他人に好印象を与えるために意識的に行われる行動を指します。例えば、「愛想笑い」や「お愛想での挨拶」といった表現に見られるように、他人に気に入られようとする意図がある様子や、相手を気遣う姿勢を示します。これは、他人に対して好感を持たれることを目指す意図的な振る舞いを含んだ言葉です。

以下「愛想」に関する分かりやすい例です。:

  • 「周囲から愛想がないと言われる」
  • 「もうあなたには愛想が尽きた」
  • 「つまらないジョークに愛想笑いをする」

一方で、「愛嬌」は、自然と現れる親しみやすさや、可愛らしさ、ひょうきんな振る舞いを指します。この言葉には、「愛想」と同様の意識的なニュアンスは含まれておらず、むしろ自然体で人なつっこい様子や魅力を表す言葉として用いられます。

以下は、「愛嬌」に関する例です。:
  • 「愛嬌がある子は周りに好かれる」
  • 「彼女は愛嬌がないと言わざるを得ない」
  • 「英語の先生は愛嬌たっぷりで生徒に人気がある」
  • 「ちょっとしたミスは愛嬌として見逃してください」

「愛想(あいそ)」と「愛嬌(あいきょう)」の英語表現

「愛想」は英語で「amiability」、「friendliness」、または「hospitality」。

「愛嬌」は英語で「attractiveness」、「cuteness」、または「charm」。「愛嬌のある」という日本語の表現は英語で「charming」です。

まとめ;「愛想をふりまく」は誤り!

「愛想」とは、意識せずに自然に現れる笑顔や親しみやすい態度のことで、意図的に振舞っているわけではありません。したがって、愛想を「振りまく」という表現は適切ではなくなります。例えば、子供が「この笑顔でお年玉を多くもらおう」と考えている場合、それはもはや愛想ではなくなります。愛想は意識的な努力ではなく、自然に人から発せられるものです。

一方で「愛嬌」は、あえて親しみやすく振る舞い、意図的に相手に好感を与えようとする感情を含んでいるため、「振りまく」という表現が適しています。例えば、何かを欲しがっているときに愛嬌を振りまく行為は、意図的であり、相手に好印象を与えることを目的としています。このように、愛嬌は相手に喜んでもらうための能動的な行動として理解されます。

おまけ;「お愛想(おあいそ)して下さい」はNG

飲食店で帰り際に「おあいそお願いします!」というフレーズを使った経験があるかもしれません。しかし、実はこれ誤用であり、使ってしまうと恥ずかしい間違いになるのです。

「お愛想(おあいそ)」という言葉は、「愛想尽かし」の省略形で、もともとは遊郭で使用されていた言葉です。「もうあの人には愛想が尽きた」といった意味で現在も使われていますが、過去には遊郭でのお客さんが気に入っていた遊女への興味を失い、「もうこの店には来ない」という意を「愛想尽かし」と表現していました。

したがって、お店側が「愛想がなくてすいません」と、少しへりくだった意味で使うもので、お客が店側に「おあいそで!」と言うと、「こんな愛想のない店にはもう来ない」というニュアンスになってしまいます。

これまで誤って使用していた方は、今後はこの表現の本来の意味を理解し、適切な言葉を使うよう心掛けましょう。

 

タイトルとURLをコピーしました