「濡れ手で泡」と「濡れ手で粟」の違いは?正しい使い方はどっち?

私達が日常生活の中で使っている言葉の中には、本来の意味や書き方使い方などを勘違いしている、間違って覚えてしまっているものがたくさんあります。

間違ったまま気づかないでいると、まわりの人に「常識のない人」「残念な人」などと思われてしまうかもしれません。子どもなら許されるかもしれませんが、たとえ若くても社会人になっていればもちろんのこと、中高年なればさらに恥ずかしい思いをすることになりかねません。

あなたも使っていませんか?

「私は大丈夫!」と思わず、今一度確認してみて下さい。これまで会話の中で当たり前に使ってきた言葉の中にも、勘違いが見つかるかもしれませんよ。

今回は、一見どちらの使い方でも問題ないように思える「濡れ手で泡」と「濡れ手で粟」について、日本語として正しく使えるのはどちらなのか?わかりやすく解説していきます

どちらも同じ「ぬれてであわ」という読み方の「濡れ手で泡」と「濡れ手で粟」という日本語ですが、本来の意味には少し違いがあり、勘違いして間違って使われやすい言葉です。

「濡れ手で泡」と「濡れ手で粟」の違いは?

まず最初にことわっておきますね。「濡れ」と「粟」は、ともに常用漢字表に含まれていないため、新聞などでは原則としてこれらをひらがなで書くことが多いです。

「ぬれてであわ」と表記すると、意味が分かりにくくなることがあります。

これは石鹸で手を洗う時の泡とは関係ありません。正しくは、濡れた手で小さな穀物である粟を掴むと、粟の粒が手に多くくっつくことから、苦労せずに大きな利益を得ることを例えた表現です。

簡単に説明すると、「濡れ手で粟」とは、労力をかけずに利益を手に入れることを意味していて、「濡れ手で泡」という表現は、「濡れ手で粟」という言葉の誤用であり、「濡れ手で泡」という言葉自体ありません。

多くの人が、似た漢字の構造と読みから誤って「濡れ手で粟」ということわざを「濡れ手で泡」と言い間違えて使っているのです。

『泡』を使うと、「濡れた手ですぐに消えてなくなる」という意味になり、『濡れ手で粟』が持つ「苦労せずに得られる利益」という意味とは正反対です。

古くから日本の食文化に不可欠だった『粟』は、価値あるものを表していました。しかし、現代ではあまり見かけないため、「泡」と間違えられやすくなったのではないかと考えられています。

また、「濡れ手に泡」という表現も誤用なので気をつけましょう。」

「濡れ手で泡」とは

「濡れ手で泡」は実際には存在しない言葉です。

この表現が広まったのは、「濡れ手で粟」と読みが似ているため、混同されやすいからです。誤った用法なので使わないようにして下さい。

「濡れ手で泡」と「濡れ手で粟」が混同される主な理由は、発音が似ていることと、「粟」という漢字が一般にはあまり使われないのに対し、「泡」はより一般的な使用が見られるため、誤って覚えられがちです。

また、一部の人々は「濡れ手で泡」を「濡れ手に泡」と表現しますが、これも正しくない日本語です。

「濡れ手で泡」の「泡」は、液体の中に空気が含まれてできる小さな球体、口の端に現れる唾液の泡、あるいは一瞬で消え去るものを例えた言葉として理解されます。

さらに、「濡れ手で泡」を「努力しても報われない」という意味で使うのも間違いです。正しい用法を心掛けましょう。

「濡れ手で粟」とは

「濡れ手で粟」ということわざの由来は、濡れた手で粟を掴むと多くの粒が手に付く現象に基づいています。これから、手間をかけずに粟が得られるという意味が生まれ、そこから労せずして利益を得ることを指すようになりました。

このことわざでよくある間違いは、「濡れ手に粟」ですが、これは誤用です。「濡れ手で粟」が正しい表現です。

また、漢字が似ているため、「粟」と「栗」を混同する人もいますが、「あわ」と読むのが正しいです。

類似のことわざには、「棚から牡丹餅」(努力せずとも良いものが得られる意味)や「漁夫の利」(争いの中から第三者が利益を得る意味)などがあります。

「濡れ手で粟」の類義語には、「丸儲け」(投資なしで全ての収入が利益になる意味)、「ぼろ儲け」(わずかな投資や労力で大きな利益を得る意味)、「一攫千金」(一度の行動で大きな利益を得る意味)などが挙げられます。」

まとめ

このことわざ「濡れ手で粟」が頻繁に用いられる状況は、労せずして利益を獲得するシーンです。

「濡れ手で粟」は努力せずに得られる利益を示すため、受動的な所得や宝くじの大当たりなどの場合に使われます。

「濡れ手で泡」と「濡れ手で粟」のどちらを使用すべきか迷った時には、「濡れ手で泡」は辞書にない用語であることを考慮して、「濡れ手で粟」という辞書に載っている表現を使ってくださいね。

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